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株式会社メグラス
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Shaping the Future of Elderly Care

介護施設のための空間デザインおよび体験設計をガイドするデザインプリンシパルの策定

Client
株式会社メグラス
PROGRESS
the challenge

どうすればメグラスのユニークなビジョン、文化、働き方を反映し、促進させるような介護施設の体験をデザインできるだろうか?

the outcome

介護施設のための空間デザインおよび体験設計をガイドするデザインプリンシパルの策定

impact

2022年11月、デザインプリンシパルに基づいた新施設「めぐらす瑞穂公園」が開業

Press
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「超高齢化社会」に突入したと言われる日本では、今後もさらに高齢者が増え、2065年には65歳以上の者1人に対して現役世代は1.3人となると予測されています。それに伴い、要介護者も増加。厚生労働省は、2040年度には約280万人の介護職員が必要になるというデータを発表しています。すでに現代においても介護業界は人手不足に陥っており、労働環境の改善などの変革が求められています。

名古屋に本社を構える株式会社メグラスは、愛知県を中心に11軒の介護施設と1軒の保育施設を運営し、介護サービスを提供する企業です。メグラスの特徴はその理念にあります。よい介護サービスを提供するために、まずは働く職員がしあわせに働けるような環境をつくること。Megler(メグラスで働くスタッフの意味)がしあわせになり、そのしあわせをお客さまや社会へめぐらせる。日本の超高齢化社会を取り巻くさまざまな問題に対して、人間中心の視点に立つ同社のビジネスは重要な示唆を持っています。

こうした革新的な理念やビジョンを、施設の空間デザインや日々の運営にさらに反映し、Meglerがより働きやすく、入居者がより幸せに過ごすにはどうすれば良いのか?2021年、IDEOはメグラスと協業し、「メグラスらしさ」を体現しながら、入居者とMeglerの両者にとってより良い体験となるような空間デザインのプリンシパルおよびガイドラインの策定に取り組みました。

IDEOのデザインリサーチャー、建築家、ビジネスデザイナーに加え、Megler数名から構成されたチームは、まずリサーチに着手しました。Megler、入居者に話を聞くのはもちろんのこと、入居者の家族にもインタビューを実施。「メグラスらしさ」とは何なのか、人々が考えるメグラスの価値はどこにあるのかを探りました。また、Meglerや入居者が空間を日々どのように使っているのかについてもリサーチを実施。2021年のプロジェクト当時、日本では新型コロナウイルス感染拡大による行動制限があり、実際に施設に訪れることはできませんでしたが、チームは施設内に固定カメラを設置したり、施設で介護業務にあたっているMeglerにカメラを装着してもらうことで、日々の様子を観察。既存施設における空間の使われ方や、働き方について理解を深めました。


Zoomを活用して施設の日々の様子を観察

入居者や家族、Meglerの人間中心の視点に立ってリサーチを進めると、さまざまなインサイトが浮かび上がってきました。それらをもとに、具体的な空間デザインへと昇華させていきました。

日本の多くの介護施設では、運営のしやすさや介護のしやすさを優先し、個室のレイアウトや什器は定型化されることが一般的です。しかし、入居者の性格や健康状態はさまざま。たとえば認知症の入居者は、介護施設のような馴染みのない新たな環境で大きな不安を抱えることがあります。そのため、家族は入居者の私物を自宅から持ち込むことで、入居者が元の生活を思い出し、少しでも安心感を覚えられるような工夫をしていました。一方、介護導線を担保するために持ち込めるものや配置の仕方は限られています。そこでチームは、「なんでもウォール」を考案。自由にカスタマイズできる壁を部屋に設けることで、介護スタッフの導線を確保しながら、家族が無理なく私物を持ち込むことができ、入居者が安らぎを感じられるような住環境をつくることを提案しました。

ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた
ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた

また、介護施設においてはどうしても「介護する側」と「介護される側」といった非対称な関係が生まれがちです。一方、入居者は施設という一つの社会において、さまざまな人々と対等につながりたいと思っていることがわかりました。既存の施設を見渡してみると、たとえば入り口付近のコーヒーマシーンなどの意外な場所が、意図せずオーガニックな出会いの場となっていることが浮かび上がってきました。この気づきをもとに、私たちは人々が自然と出会い、交流することを促すような空間をつくることを提案しました。

2022年11月にオープンした住宅型有料老人ホーム「めぐらす瑞穂公園」を訪れると、誰もが自由に出入りできる屋上空間が整備されていることに気が付きます。適度なオープンさを持つ居心地の良い屋上空間は、入居者と家族が散歩がわりに歩いたりするほか、スタッフが休憩する場所にもなっており、入居者、家族、スタッフが立場や目的に関わらず集まり、自然と出会い、交流する場となっています。

広々とした「めぐらす瑞穂公園」の屋上空間。

この他にも「めぐらす瑞穂公園」にはゆったりとしたラウンジスペースや入居者が自由に使い方を選べる壁など、空間デザイン指針を基にしたさまざまな趣向が凝らされています。人間中心のリサーチに基づいて出来上がった施設は、入居者のみならずその家族、またMeglerたちにとっても特別な空間になっています。


天窓が設けられ、開放感のある「めぐらす瑞穂公園」の館内空間
入居者とその家族、スタッフがふらっと立ち寄り交流する「めぐらす瑞穂公園」のラウンジスペース

「IDEOとの協業には社内のメンバーも密に関わり、一緒にデザインし、共創していく感覚がありました。これを通じて、デザインをどうケアに反映し、人々の考えや行動を導くのかという視点が、組織内に自然と浸透していきました。日々の運営においても、ケアスタッフが施設の各デザインの意図をメグラスの理念に則って説明する様子を目にします。これはIDEOとの協業を通じて、社員たちが我々の理念やビジョン、ひいては「デザインを通して提供したいケアとは何か?」という問いに立ち返って考える機会を得られたからだと考えています。」

-メグラス株式会社 代表取締役 飛田拓哉

「超高齢化社会」に突入したと言われる日本では、今後もさらに高齢者が増え、2065年には65歳以上の者1人に対して現役世代は1.3人となると予測されています。それに伴い、要介護者も増加。厚生労働省は、2040年度には約280万人の介護職員が必要になるというデータを発表しています。すでに現代においても介護業界は人手不足に陥っており、労働環境の改善などの変革が求められています。

名古屋に本社を構える株式会社メグラスは、愛知県を中心に11軒の介護施設と1軒の保育施設を運営し、介護サービスを提供する企業です。メグラスの特徴はその理念にあります。よい介護サービスを提供するために、まずは働く職員がしあわせに働けるような環境をつくること。Megler(メグラスで働くスタッフの意味)がしあわせになり、そのしあわせをお客さまや社会へめぐらせる。日本の超高齢化社会を取り巻くさまざまな問題に対して、人間中心の視点に立つ同社のビジネスは重要な示唆を持っています。

こうした革新的な理念やビジョンを、施設の空間デザインや日々の運営にさらに反映し、Meglerがより働きやすく、入居者がより幸せに過ごすにはどうすれば良いのか?2021年、IDEOはメグラスと協業し、「メグラスらしさ」を体現しながら、入居者とMeglerの両者にとってより良い体験となるような空間デザインのプリンシパルおよびガイドラインの策定に取り組みました。

IDEOのデザインリサーチャー、建築家、ビジネスデザイナーに加え、Megler数名から構成されたチームは、まずリサーチに着手しました。Megler、入居者に話を聞くのはもちろんのこと、入居者の家族にもインタビューを実施。「メグラスらしさ」とは何なのか、人々が考えるメグラスの価値はどこにあるのかを探りました。また、Meglerや入居者が空間を日々どのように使っているのかについてもリサーチを実施。2021年のプロジェクト当時、日本では新型コロナウイルス感染拡大による行動制限があり、実際に施設に訪れることはできませんでしたが、チームは施設内に固定カメラを設置したり、施設で介護業務にあたっているMeglerにカメラを装着してもらうことで、日々の様子を観察。既存施設における空間の使われ方や、働き方について理解を深めました。


Zoomを活用して施設の日々の様子を観察

入居者や家族、Meglerの人間中心の視点に立ってリサーチを進めると、さまざまなインサイトが浮かび上がってきました。それらをもとに、具体的な空間デザインへと昇華させていきました。

日本の多くの介護施設では、運営のしやすさや介護のしやすさを優先し、個室のレイアウトや什器は定型化されることが一般的です。しかし、入居者の性格や健康状態はさまざま。たとえば認知症の入居者は、介護施設のような馴染みのない新たな環境で大きな不安を抱えることがあります。そのため、家族は入居者の私物を自宅から持ち込むことで、入居者が元の生活を思い出し、少しでも安心感を覚えられるような工夫をしていました。一方、介護導線を担保するために持ち込めるものや配置の仕方は限られています。そこでチームは、「なんでもウォール」を考案。自由にカスタマイズできる壁を部屋に設けることで、介護スタッフの導線を確保しながら、家族が無理なく私物を持ち込むことができ、入居者が安らぎを感じられるような住環境をつくることを提案しました。

ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた
ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた

また、介護施設においてはどうしても「介護する側」と「介護される側」といった非対称な関係が生まれがちです。一方、入居者は施設という一つの社会において、さまざまな人々と対等につながりたいと思っていることがわかりました。既存の施設を見渡してみると、たとえば入り口付近のコーヒーマシーンなどの意外な場所が、意図せずオーガニックな出会いの場となっていることが浮かび上がってきました。この気づきをもとに、私たちは人々が自然と出会い、交流することを促すような空間をつくることを提案しました。

2022年11月にオープンした住宅型有料老人ホーム「めぐらす瑞穂公園」を訪れると、誰もが自由に出入りできる屋上空間が整備されていることに気が付きます。適度なオープンさを持つ居心地の良い屋上空間は、入居者と家族が散歩がわりに歩いたりするほか、スタッフが休憩する場所にもなっており、入居者、家族、スタッフが立場や目的に関わらず集まり、自然と出会い、交流する場となっています。

広々とした「めぐらす瑞穂公園」の屋上空間。

この他にも「めぐらす瑞穂公園」にはゆったりとしたラウンジスペースや入居者が自由に使い方を選べる壁など、空間デザイン指針を基にしたさまざまな趣向が凝らされています。人間中心のリサーチに基づいて出来上がった施設は、入居者のみならずその家族、またMeglerたちにとっても特別な空間になっています。


天窓が設けられ、開放感のある「めぐらす瑞穂公園」の館内空間
入居者とその家族、スタッフがふらっと立ち寄り交流する「めぐらす瑞穂公園」のラウンジスペース

「IDEOとの協業には社内のメンバーも密に関わり、一緒にデザインし、共創していく感覚がありました。これを通じて、デザインをどうケアに反映し、人々の考えや行動を導くのかという視点が、組織内に自然と浸透していきました。日々の運営においても、ケアスタッフが施設の各デザインの意図をメグラスの理念に則って説明する様子を目にします。これはIDEOとの協業を通じて、社員たちが我々の理念やビジョン、ひいては「デザインを通して提供したいケアとは何か?」という問いに立ち返って考える機会を得られたからだと考えています。」

-メグラス株式会社 代表取締役 飛田拓哉

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介護施設のための空間デザインおよび体験設計をガイドするデザインプリンシパルの策定

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The CHallenge

どうすればメグラスのユニークなビジョン、文化、働き方を反映し、促進させるような介護施設の体験をデザインできるだろうか?

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2022年11月、デザインプリンシパルに基づいた新施設「めぐらす瑞穂公園」が開業

The Outcome

介護施設のための空間デザインおよび体験設計をガイドするデザインプリンシパルの策定

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「超高齢化社会」に突入したと言われる日本では、今後もさらに高齢者が増え、2065年には65歳以上の者1人に対して現役世代は1.3人となると予測されています。それに伴い、要介護者も増加。厚生労働省は、2040年度には約280万人の介護職員が必要になるというデータを発表しています。すでに現代においても介護業界は人手不足に陥っており、労働環境の改善などの変革が求められています。

名古屋に本社を構える株式会社メグラスは、愛知県を中心に11軒の介護施設と1軒の保育施設を運営し、介護サービスを提供する企業です。メグラスの特徴はその理念にあります。よい介護サービスを提供するために、まずは働く職員がしあわせに働けるような環境をつくること。Megler(メグラスで働くスタッフの意味)がしあわせになり、そのしあわせをお客さまや社会へめぐらせる。日本の超高齢化社会を取り巻くさまざまな問題に対して、人間中心の視点に立つ同社のビジネスは重要な示唆を持っています。

こうした革新的な理念やビジョンを、施設の空間デザインや日々の運営にさらに反映し、Meglerがより働きやすく、入居者がより幸せに過ごすにはどうすれば良いのか?2021年、IDEOはメグラスと協業し、「メグラスらしさ」を体現しながら、入居者とMeglerの両者にとってより良い体験となるような空間デザインのプリンシパルおよびガイドラインの策定に取り組みました。

IDEOのデザインリサーチャー、建築家、ビジネスデザイナーに加え、Megler数名から構成されたチームは、まずリサーチに着手しました。Megler、入居者に話を聞くのはもちろんのこと、入居者の家族にもインタビューを実施。「メグラスらしさ」とは何なのか、人々が考えるメグラスの価値はどこにあるのかを探りました。また、Meglerや入居者が空間を日々どのように使っているのかについてもリサーチを実施。2021年のプロジェクト当時、日本では新型コロナウイルス感染拡大による行動制限があり、実際に施設に訪れることはできませんでしたが、チームは施設内に固定カメラを設置したり、施設で介護業務にあたっているMeglerにカメラを装着してもらうことで、日々の様子を観察。既存施設における空間の使われ方や、働き方について理解を深めました。


Zoomを活用して施設の日々の様子を観察

入居者や家族、Meglerの人間中心の視点に立ってリサーチを進めると、さまざまなインサイトが浮かび上がってきました。それらをもとに、具体的な空間デザインへと昇華させていきました。

日本の多くの介護施設では、運営のしやすさや介護のしやすさを優先し、個室のレイアウトや什器は定型化されることが一般的です。しかし、入居者の性格や健康状態はさまざま。たとえば認知症の入居者は、介護施設のような馴染みのない新たな環境で大きな不安を抱えることがあります。そのため、家族は入居者の私物を自宅から持ち込むことで、入居者が元の生活を思い出し、少しでも安心感を覚えられるような工夫をしていました。一方、介護導線を担保するために持ち込めるものや配置の仕方は限られています。そこでチームは、「なんでもウォール」を考案。自由にカスタマイズできる壁を部屋に設けることで、介護スタッフの導線を確保しながら、家族が無理なく私物を持ち込むことができ、入居者が安らぎを感じられるような住環境をつくることを提案しました。

ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた
ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた

また、介護施設においてはどうしても「介護する側」と「介護される側」といった非対称な関係が生まれがちです。一方、入居者は施設という一つの社会において、さまざまな人々と対等につながりたいと思っていることがわかりました。既存の施設を見渡してみると、たとえば入り口付近のコーヒーマシーンなどの意外な場所が、意図せずオーガニックな出会いの場となっていることが浮かび上がってきました。この気づきをもとに、私たちは人々が自然と出会い、交流することを促すような空間をつくることを提案しました。

2022年11月にオープンした住宅型有料老人ホーム「めぐらす瑞穂公園」を訪れると、誰もが自由に出入りできる屋上空間が整備されていることに気が付きます。適度なオープンさを持つ居心地の良い屋上空間は、入居者と家族が散歩がわりに歩いたりするほか、スタッフが休憩する場所にもなっており、入居者、家族、スタッフが立場や目的に関わらず集まり、自然と出会い、交流する場となっています。

広々とした「めぐらす瑞穂公園」の屋上空間。

この他にも「めぐらす瑞穂公園」にはゆったりとしたラウンジスペースや入居者が自由に使い方を選べる壁など、空間デザイン指針を基にしたさまざまな趣向が凝らされています。人間中心のリサーチに基づいて出来上がった施設は、入居者のみならずその家族、またMeglerたちにとっても特別な空間になっています。


天窓が設けられ、開放感のある「めぐらす瑞穂公園」の館内空間
入居者とその家族、スタッフがふらっと立ち寄り交流する「めぐらす瑞穂公園」のラウンジスペース

「IDEOとの協業には社内のメンバーも密に関わり、一緒にデザインし、共創していく感覚がありました。これを通じて、デザインをどうケアに反映し、人々の考えや行動を導くのかという視点が、組織内に自然と浸透していきました。日々の運営においても、ケアスタッフが施設の各デザインの意図をメグラスの理念に則って説明する様子を目にします。これはIDEOとの協業を通じて、社員たちが我々の理念やビジョン、ひいては「デザインを通して提供したいケアとは何か?」という問いに立ち返って考える機会を得られたからだと考えています。」

-メグラス株式会社 代表取締役 飛田拓哉

「超高齢化社会」に突入したと言われる日本では、今後もさらに高齢者が増え、2065年には65歳以上の者1人に対して現役世代は1.3人となると予測されています。それに伴い、要介護者も増加。厚生労働省は、2040年度には約280万人の介護職員が必要になるというデータを発表しています。すでに現代においても介護業界は人手不足に陥っており、労働環境の改善などの変革が求められています。

名古屋に本社を構える株式会社メグラスは、愛知県を中心に11軒の介護施設と1軒の保育施設を運営し、介護サービスを提供する企業です。メグラスの特徴はその理念にあります。よい介護サービスを提供するために、まずは働く職員がしあわせに働けるような環境をつくること。Megler(メグラスで働くスタッフの意味)がしあわせになり、そのしあわせをお客さまや社会へめぐらせる。日本の超高齢化社会を取り巻くさまざまな問題に対して、人間中心の視点に立つ同社のビジネスは重要な示唆を持っています。

こうした革新的な理念やビジョンを、施設の空間デザインや日々の運営にさらに反映し、Meglerがより働きやすく、入居者がより幸せに過ごすにはどうすれば良いのか?2021年、IDEOはメグラスと協業し、「メグラスらしさ」を体現しながら、入居者とMeglerの両者にとってより良い体験となるような空間デザインのプリンシパルおよびガイドラインの策定に取り組みました。

IDEOのデザインリサーチャー、建築家、ビジネスデザイナーに加え、Megler数名から構成されたチームは、まずリサーチに着手しました。Megler、入居者に話を聞くのはもちろんのこと、入居者の家族にもインタビューを実施。「メグラスらしさ」とは何なのか、人々が考えるメグラスの価値はどこにあるのかを探りました。また、Meglerや入居者が空間を日々どのように使っているのかについてもリサーチを実施。2021年のプロジェクト当時、日本では新型コロナウイルス感染拡大による行動制限があり、実際に施設に訪れることはできませんでしたが、チームは施設内に固定カメラを設置したり、施設で介護業務にあたっているMeglerにカメラを装着してもらうことで、日々の様子を観察。既存施設における空間の使われ方や、働き方について理解を深めました。


Zoomを活用して施設の日々の様子を観察

入居者や家族、Meglerの人間中心の視点に立ってリサーチを進めると、さまざまなインサイトが浮かび上がってきました。それらをもとに、具体的な空間デザインへと昇華させていきました。

日本の多くの介護施設では、運営のしやすさや介護のしやすさを優先し、個室のレイアウトや什器は定型化されることが一般的です。しかし、入居者の性格や健康状態はさまざま。たとえば認知症の入居者は、介護施設のような馴染みのない新たな環境で大きな不安を抱えることがあります。そのため、家族は入居者の私物を自宅から持ち込むことで、入居者が元の生活を思い出し、少しでも安心感を覚えられるような工夫をしていました。一方、介護導線を担保するために持ち込めるものや配置の仕方は限られています。そこでチームは、「なんでもウォール」を考案。自由にカスタマイズできる壁を部屋に設けることで、介護スタッフの導線を確保しながら、家族が無理なく私物を持ち込むことができ、入居者が安らぎを感じられるような住環境をつくることを提案しました。

ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた
ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた

また、介護施設においてはどうしても「介護する側」と「介護される側」といった非対称な関係が生まれがちです。一方、入居者は施設という一つの社会において、さまざまな人々と対等につながりたいと思っていることがわかりました。既存の施設を見渡してみると、たとえば入り口付近のコーヒーマシーンなどの意外な場所が、意図せずオーガニックな出会いの場となっていることが浮かび上がってきました。この気づきをもとに、私たちは人々が自然と出会い、交流することを促すような空間をつくることを提案しました。

2022年11月にオープンした住宅型有料老人ホーム「めぐらす瑞穂公園」を訪れると、誰もが自由に出入りできる屋上空間が整備されていることに気が付きます。適度なオープンさを持つ居心地の良い屋上空間は、入居者と家族が散歩がわりに歩いたりするほか、スタッフが休憩する場所にもなっており、入居者、家族、スタッフが立場や目的に関わらず集まり、自然と出会い、交流する場となっています。

広々とした「めぐらす瑞穂公園」の屋上空間。

この他にも「めぐらす瑞穂公園」にはゆったりとしたラウンジスペースや入居者が自由に使い方を選べる壁など、空間デザイン指針を基にしたさまざまな趣向が凝らされています。人間中心のリサーチに基づいて出来上がった施設は、入居者のみならずその家族、またMeglerたちにとっても特別な空間になっています。


天窓が設けられ、開放感のある「めぐらす瑞穂公園」の館内空間
入居者とその家族、スタッフがふらっと立ち寄り交流する「めぐらす瑞穂公園」のラウンジスペース

「IDEOとの協業には社内のメンバーも密に関わり、一緒にデザインし、共創していく感覚がありました。これを通じて、デザインをどうケアに反映し、人々の考えや行動を導くのかという視点が、組織内に自然と浸透していきました。日々の運営においても、ケアスタッフが施設の各デザインの意図をメグラスの理念に則って説明する様子を目にします。これはIDEOとの協業を通じて、社員たちが我々の理念やビジョン、ひいては「デザインを通して提供したいケアとは何か?」という問いに立ち返って考える機会を得られたからだと考えています。」

-メグラス株式会社 代表取締役 飛田拓哉

「超高齢化社会」に突入したと言われる日本では、今後もさらに高齢者が増え、2065年には65歳以上の者1人に対して現役世代は1.3人となると予測されています。それに伴い、要介護者も増加。厚生労働省は、2040年度には約280万人の介護職員が必要になるというデータを発表しています。すでに現代においても介護業界は人手不足に陥っており、労働環境の改善などの変革が求められています。

名古屋に本社を構える株式会社メグラスは、愛知県を中心に11軒の介護施設と1軒の保育施設を運営し、介護サービスを提供する企業です。メグラスの特徴はその理念にあります。よい介護サービスを提供するために、まずは働く職員がしあわせに働けるような環境をつくること。Megler(メグラスで働くスタッフの意味)がしあわせになり、そのしあわせをお客さまや社会へめぐらせる。日本の超高齢化社会を取り巻くさまざまな問題に対して、人間中心の視点に立つ同社のビジネスは重要な示唆を持っています。

こうした革新的な理念やビジョンを、施設の空間デザインや日々の運営にさらに反映し、Meglerがより働きやすく、入居者がより幸せに過ごすにはどうすれば良いのか?2021年、IDEOはメグラスと協業し、「メグラスらしさ」を体現しながら、入居者とMeglerの両者にとってより良い体験となるような空間デザインのプリンシパルおよびガイドラインの策定に取り組みました。

IDEOのデザインリサーチャー、建築家、ビジネスデザイナーに加え、Megler数名から構成されたチームは、まずリサーチに着手しました。Megler、入居者に話を聞くのはもちろんのこと、入居者の家族にもインタビューを実施。「メグラスらしさ」とは何なのか、人々が考えるメグラスの価値はどこにあるのかを探りました。また、Meglerや入居者が空間を日々どのように使っているのかについてもリサーチを実施。2021年のプロジェクト当時、日本では新型コロナウイルス感染拡大による行動制限があり、実際に施設に訪れることはできませんでしたが、チームは施設内に固定カメラを設置したり、施設で介護業務にあたっているMeglerにカメラを装着してもらうことで、日々の様子を観察。既存施設における空間の使われ方や、働き方について理解を深めました。


Zoomを活用して施設の日々の様子を観察

入居者や家族、Meglerの人間中心の視点に立ってリサーチを進めると、さまざまなインサイトが浮かび上がってきました。それらをもとに、具体的な空間デザインへと昇華させていきました。

日本の多くの介護施設では、運営のしやすさや介護のしやすさを優先し、個室のレイアウトや什器は定型化されることが一般的です。しかし、入居者の性格や健康状態はさまざま。たとえば認知症の入居者は、介護施設のような馴染みのない新たな環境で大きな不安を抱えることがあります。そのため、家族は入居者の私物を自宅から持ち込むことで、入居者が元の生活を思い出し、少しでも安心感を覚えられるような工夫をしていました。一方、介護導線を担保するために持ち込めるものや配置の仕方は限られています。そこでチームは、「なんでもウォール」を考案。自由にカスタマイズできる壁を部屋に設けることで、介護スタッフの導線を確保しながら、家族が無理なく私物を持ち込むことができ、入居者が安らぎを感じられるような住環境をつくることを提案しました。

ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた
ある入居者の部屋。スタッフや家族とともにリサーチとフィードバックを進めた

また、介護施設においてはどうしても「介護する側」と「介護される側」といった非対称な関係が生まれがちです。一方、入居者は施設という一つの社会において、さまざまな人々と対等につながりたいと思っていることがわかりました。既存の施設を見渡してみると、たとえば入り口付近のコーヒーマシーンなどの意外な場所が、意図せずオーガニックな出会いの場となっていることが浮かび上がってきました。この気づきをもとに、私たちは人々が自然と出会い、交流することを促すような空間をつくることを提案しました。

2022年11月にオープンした住宅型有料老人ホーム「めぐらす瑞穂公園」を訪れると、誰もが自由に出入りできる屋上空間が整備されていることに気が付きます。適度なオープンさを持つ居心地の良い屋上空間は、入居者と家族が散歩がわりに歩いたりするほか、スタッフが休憩する場所にもなっており、入居者、家族、スタッフが立場や目的に関わらず集まり、自然と出会い、交流する場となっています。

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-メグラス株式会社 代表取締役 飛田拓哉

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