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The Challenge

JAXAの航空技術を含む、高度な科学技術を活用して実現し得る、未来の「空」を舞台とする将来社会を、「人(生活者)」を起点として描く。

The Outcome

未来の空を活用した「環境・移動・資源・コミュニティ」という4つの観点から、JAXAの航空技術を使って人々の生活を改善する4つのシナリオを提案。今後JAXAが広く一般の人々と未来を共創し、研究開発テーマの方向性を探るプラットフォーム(ウェブサイト)、Future Blue Skyを立ち上げた。

特設ウェブサイト Future Blue Skyは、2018年11月21日に公開され、一般の人々や企業からフィードバックを得ながら、未来の空と人のすがたを共創することを目指している。

都市部への人口集中がもたらす、公害、渋滞、災害、地方の過疎化...。そして資源やエネルギー問題。目まぐるしく変化する現代社会において、こうした地上で起こる数々の問題に、人々の生活は大きな影響を受けています。

今から約30年後、人々の生活や移動の場として、「空」が活用できるようになったら、そこにはどんなワクワクする未来が待っているでしょうか?

テクノロジーよりも”人”に焦点を当てて社会問題にアプローチすると、そこにはどんな可能性が生まれるのでしょうか?

JAXA航空技術部門(以下、JAXA航空)は、世界に誇る最先端技術を研究、開発している組織です。彼らの基礎研究の内容は、飛行機の機体から出る騒音を大幅に低減する技術や、災害時に防災ヘリコプターや災害対策本部などがリアルタイムで効率的な情報のやり取りができ、迅速な救援活動を支援を可能にするシステムへの貢献など、一般の人々の生活にもインパクトのあるものばかり。従来、こうした研究のテーマ設定においては、航空産業界のニーズや世界の技術水準を起点に最先端の技術を極め、社会に役立ついくつもの成果を挙げてきました。一方で、このやり方は現行技術の延長線上に将来を描くことが多く、新たな技術の潮流を生み出すような斬新なアイディアを創出するには、これまでと全く異なるアプローチが必要ではないか、という課題意識が生まれていました。

「本来、技術は人のためにある。人の生活を中心に、フリーハンドで未来を描き、人のためになる研究開発につなげたい」、そんな想いを胸に立ち上がったJAXA航空の有志メンバ

人にやさしく、人の生活に溶け込む技術をイメージしたデザイン

今回生まれた4つのシナリオは、より広く一般市民との対話のきっかけを作るべく、特設ウェブサイト ”FUTURE BLUE SKY”という形で公開しました。その表現方法は、無機質でSF的なものとは対照的に、全体的に丸みを帯びてあたたかみがあり、それぞれ主人公の1日を追う絵本のように展開するスタイルを採用しています。これは、「本来、科学や研究には、情緒的な要素が入っているべきであり、JAXAの技術は、人にやさしく、人の生活に溶け込むものでありたい」というJAXA航空のチームの想いを表現したものです。

また、このシナリオは、子どもから高齢者まで幅広い層の人々を対象としているため、ビジュアルでは敢えてテクノロジーを全面に出さず、実際に人が生活する未来をイメージした、共感しやすいストーリーを伝えることを重視しました。同時に、乗り物などのイラストはインダストリアル・デザイナーと共同で起こし、説得力のあるデザインを追求しています。

インダストリアルデザイナーによる「スカイバス」のアイデアのスケッチ。

空を活用した様々なコンセプトを、一つのストーリーに

IDEOとJAXA航空のチームは、人を中核においたコンセプトをゼロから考えるため、航空機や「空」に対する固定概念を取り払い、人が空という限りないフィールドを使って何ができるのか?という問いかけからリサーチを始めました。リサーチ対象も、「航空」関連に限らず、様々な分野の人、場所にインスピレーションを求めました。屋内スカイダイビングの体験に始まり、上空から見える景色の観察、早稲田大学建築学部の学生とのブレスト、柔道の元世界チャンピオン選手や高層ビル好きの人、航空会社の社員、「新しい働き方」をテーマとする事業プロデューサーへのインタビューなども行ない、「空」がただ「移動する場」ではなく、「生活する場」にもになったときのさまざまな可能性について、考えました。例えば、リサーチの一環で話を聞いた元戦闘機パイロットからは、「昔の操縦席のデザイン(機器の配置など)は、茶室からインスピレーションを得ていた」と聞き、全くの異分野からインスピレーションを取り込むという我々のアプローチと同様のことを先人たちが実践していた事実に、驚喜しました。

早稲田大学建築学部の学生を招き、「空に街があったら」「空を使って何かを作れるとしたら」というテーマでブレストを行った。

JAXA航空の研究者たちの頭のなかにある技術と、こうしたリサーチから得たインスピレーションを結びつけていった結果生まれた多くのコンセプトを、どうしたらわかりやすく伝えらえるか?プロジェクトチームは試行錯誤を重ねた結果、4つの社会課題をテーマにアイデアを振り分け、それぞれ象徴的なキャラクターを主人公に立てて展開するストーリーに落とし込むことにしました。

各シナリオの主人公たち。人の生活に技術がどう溶け込むかを伝えるために、彼らの「ある1日」を追う形でストーリーを展開している。

Livable Cities ― “どうすれば「空」を活用して、都市部の交通渋滞、大気汚染、住宅や公共空間の不足などの問題を解決できるだろうか? 

大学進学のため、地元の群馬県郊外から大阪に引っ越す、アヤメの1日

「空に浮かぶ電灯」や、空の交通を規制する「スカイウェイ」、広々とした青空の美しさを保つための光学迷彩の飛行機や都市区画規制。すでにJAXA航空が取り組んでいる基礎研究ともっとも繋げやすかったのが、このシナリオに登場するアイデアの数々。人々の生活に直結するインフラにも空を活用できる可能性を示しています。

Seamless Mobility ― “どうすれば、誰もが遠く離れた場所にも快適に移動できる航空交通をデザインできるだろうか?”

通院のため、鳥取の自宅から東京まで月2回通う、72歳のナオトの1日

JAXA 航空は、空気抵抗の軽減や燃費向上など、飛行機単体のモビリティとしての性能を上げていくための研究開発に取り組んでいますが、このシナリオでは、人々が、必ずしも飛行機に乗らずに、どうしたら快適に上空をDoor to Doorで移動できるかということを考えました。

Sustainable Resources ― “どうすれば、空を美しく保ちながら、再利用可能なエネルギーや、経済成長の資源として活用できるだろうか?”

「空から食卓へ」をテーマに農産物を栽培、販売する事業を営むトシの1日

環境に貢献することはJAXAの研究開発の方向性の一つでしたが、従来は環境を「守る」という視点が強かったのに対し、このシナリオにおいては、守るだけではなく、人の生活を変えるような新しい環境を「生み出していく」試みを描きました。

Safe Community ― “どうすれば、災害時でも人々が安心して暮らせる環境、ネットワーク、システムをデザインできるだろうか?”

東京で地震に遭った小学生ユリが、空に避難してから地上の安全な場所で家族と再会するまでのストーリー

災害時に救援活動をする人々に対するJAXAの技術提供は、これまでも高く評価されています。しかし、このシナリオでは視点を換え、「救援される人」の方に焦点を当てました。細かいものが空を飛び、その交通網を作ることができるという技術を、どう困っている人の役に立てるか?という観点からコンセプトを練り上げました。

ここから始まる、ワクワクする未来の共創

このウェブサイト”Future Blue Sky”の目的は、未来の「答え」を示すことではなく、JAXA航空が「こうした問いかけにチャレンジしていきたい」というプロジェクトチームのビジョンを広く提示することで、一般の人々や、業界を問わず様々な企業と、ワクワクする未来を共創していくことにあります。

幼い頃に触れたアニメや映画、そして小説が私たちの想像力を掻き立てたときと同じように、このプロジェクトが多くの人にとって、新たな未来を想像する「きっかけ」となることが、プロジェクトメンバーたちの願いです。

国内最高峰の航空技術研究開発機関から、生活者としての「人」を中核において、数十年後の社会の姿を主体的に描くプロジェクトが生まれたこと。そして、一般市民の参加を呼びかけながら、実現したい未来のために研究テーマを模索し始めたことは、私たちの「空」の未来を大きく変えていくかもしれません。※

4つのシナリオを見たユーザーの声

「どれも素晴らしいアイデアばかりで、聞いていてとても楽しかったです。自由な気持ちになりました。日本を代表する機関がこういうことをやっているのは素晴らしいと思います。Safe Communityのシナリオで提案されているアイデアは、JAXAさんが取り組むのに特に納得感のある分野です。これはそんなに先の未来ではないと思うので、ぜひ実現してもらいたいです。」― 横石崇さん

ユーザーフィードバックセッションに参加してくださった、TOKYO WORK DESIGN WEEK発起人・オーガナイザー/&Co.Ltd 代表取締役の横石さんは、ご自身のテーマでもある「新しい働き方」についても多くのインスピレーションを与えてくれた。

「みんな空中に移動することで、地上のクルマや標識などが減って、本当に本質的な活動を地上でするようになるのではないでしょうか。また、Sustainable Resourcesのシナリオは、夢があって、エネルギーと食に関わることだからこそ、人間の営みをガラリと変えそうな気がします。未来の地球に対する想いが込められており、JAXAの考える”地球の幸せ”の可能性に、技術でチャレンジして欲しいです。」― ササキ依里さん

「地方でもいま東京から8時間かけてやっと到着できる場所とかがあります。スカイバスみたいなシステムができると、そういう町にも人が来れるようになったり、住むようになったりして、そうすると土地の価値が変わるし、東京の突出した都市感みたいなものもゆるまって、全国が均一的に最先端の情報に触れられるようになるかも。そして、ローカルの商店街やお祭りなどの価値が再発見されそう。」― 吉田ちかげさん

JAXA航空技術部門 有志チームのコメント

本プロジェクトをリードしたJAXA航空技術部門の岡本太陽さんと保江かな子さん。

「通常の業務はロジックで物事を調整、判断することが大半を占めているなか、インスピレーションを大事にして、安易に答えをもとめない、答えに飛びつかないというアプローチは、とても大変だったけど新しいものでした。このアプローチに取り組んでいる間は、仕事とプライベートの境目があまりなくなり、日々、体験・体感していることの意味、価値をあらためて意識しなおす、捉えなおす、といったことを常にやるモードだったので、日常生活自体がとても新鮮に感じていた記憶があります。

個人的には、世の中に出ている製品、サービス、モノと、我々JAXAの技術やコンセプトを、うまく繋げる新しい仕組みを作っていくことにやりがいを感じており、まさに今回のIDEOとのプロジェクトもその一つです。今後も、皆さんにとって価値のある、新しいことを仕掛けていけたらいいなと思っています。」― 岡本太陽さん

「研究開発期間が約30年と非常に長いプロダクトである航空機の研究開発をしているJAXAのような組織にとって、モノやサービス、ビジネスのイノベーションを手がけるIDEOのアプローチが合うのかどうか、不安と期待が入り混じる中でプロジェクトがスタートしました。しかし、実際何もないところからこうして4つのコンセプトが生まれ、すでにお見せした方たちからはポジティブなご意見をいただいています。

これからも研究開発機関として、人を中心に据えた夢を描いた上で、「そんなことできるの?」と思われるようなことにも挑戦していく組織でありたい、技術で不可能に思えることを可能にしていきたい、と思っています。」― 保江かな子さん

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